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『抗生物質』風邪には効かぬ (その2)

●乱用に警告

しかし、抗生物質に予防効果がないことを示す研究は数多い。川崎医科大では、風邪の患者200人の半分に解熱剤などの対症療法、半分に抗生物質のペニシリンを投与した。治療5日目以降に抗生物質が必要だと診断された患者は、ともに3人で、差はなかった。

日本呼吸器学会は今年6月、成人気道感染症の指針の中に、風邪への抗生物質の使用はできるだけ控えるべきだと初めて盛り込んだ。投与が適当なのは、3日以上の高熱や、うみ状のたんや鼻水が出る場合などに限定した。

指針をまとめた川崎医大の松島敏春教授は「抗生物質を『使わない』方針を示した画期的な内容」と話す。

抗生物質では死なない耐性菌が問題となりはじめたのは92年、千葉県の病院で大量の耐性菌による院内感染が発覚したことがきっかけ。以来、抗生物質の乱用に対する警告が繰り返されてきた。

松島教授は「怠慢と言われれば、そうかもしれない。日本の感染症指針は海外に比べ10年遅れている」と話す。

●購入額多く

国の対策はどうか。厚生省は96年、院内感染の問題を受けて抗生物質の診療手引を作成。だが、風邪の項目に「対症療法を二次細菌感染の予防が主体」として、使うべき抗生物質の名前を列挙している。

01年には日本感染症学会などに新たな手引の作成を委託した。が、ここにも抗生物質のリストが残った。手引をまとめた東京慈恵会医科大の柴孝也教授は「細菌性の風邪もあるので、一律に抗生物質を使うなとは書けなかった」と説明する。

ようやく、来年5月に出す改訂版に、「風邪に抗生物質は無効。細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」都の文章が入る。

日本の抗生物質の生産はここ10年間、減少傾向が続いている。それでも1人当たりの抗生物質の購入額は約4600円。米国の約5100円より少ないが、フランスの約2600円、英国の約800円に比べると、格段に多い。

厚労省は「EBM(根拠に基づく治療)という言葉が出てきたのはここ2~3年で、それ以前は国として指針作成を依頼するのは難しかった」と話す。

(2003年12月8日 朝日新聞_夕刊の記事より)

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